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商標登録の基礎知識

ベストライセンス社の商標の大量出願について

他人の商標を先取りするような商標出願が乱発されています

最近、元弁理士のA氏と、このA氏が運営するベストライセンス社から、他人の商標を先取りするような商標出願が大量に行われているようです。

大手新聞社からも「商標乱発、国全体の1割出願」などと報道され、話題となっています。

 

また、特許庁でも、この件について、下記サイトで、注意喚起を行っています。

「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」

 

報道によると、2015年だけで、このA氏名義の出願とベストライセンス社名義の出願とで、計約1万4700件以上の出願がされているようです。2015年の日本全国での商標出願の件数が約14万7283件ですから、全体の約1割を、個人或いは個人が運営する一企業が出願していることになります。

 

「リニア中央新幹線」、「民進党」、「おおさか維新の会」などの他、「じぇじぇ」、「やられたらやり返す」、「STAP細胞はあります」などの流行語も出願されているようです。

大手化粧品メーカー 資生堂の2015年の出願数は約650件ですから、1万4700件という数字が如何に大きなものであるかが分かります。

「民進党」の商標について

例えば、民進党は、維新の党が民主党に合流し、民主党が改称する形で結成された政党です。党名を決めるのにあたって、民主党、維新の党は公募を行い、2016年3月10日の時点で「立憲民主党」、「民進党」の2つの候補に絞られていました。

 

最終的には、電話による世論調査の結果を踏まえて、3月14日に、新党名として「民進党」を採用することが決定されました。民進党は、党名を決定したその日には、「民進党」の商標出願をしていましたが、なんと、それよりも3日前の3月11日にベストライセンス社から「民進党」の商標出願がされています。

 

3月10日には同社から「立憲民主党」の出願もされていますので、3月10日に、新党名が「立憲民主党」、「民進党」の2つに絞られたとの報道を見て、先取りして「民進党」の商標出願をしたものと思われます。ちなみに、ベストライセンス社は、その他の既存政党の名称も出願しています。

 

使用するネーミングが決まってから商標出願をするというのが本来のあり方だとは思いますが、ネーミングの正式な決定の前に、その候補が公表されるような場合は、候補全てについて商標出願をしておくべきかもしれません。

 

「民進党」の商標出願の件ですが、民進党よりもベストライセンス社の方が先に出願をしているので、民進党は、商標「民進党」の商標権を取得することができないのか?という疑問がわきます。

 

おそらく、ベストライセンス社の出願が審査を受けたとしても、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」(商標法4条1項6号)に該当するため、商標登録は認められないでしょう。

結果として、民進党の商標出願が登録を認められることになるかと思います。

ベストライセンス社の先取り出願の最近の状況

2016年に入ってからの商標出願を調べてみますと、2016年1月1日から6月30日の段階で、把握できるだけでも、このA氏とベストライセンス社で、計8900件以上の商標出願がされているようです。2015年と比べて、さらにハイペースで商標出願されています。

 

2016年に入ってからの出願ですと、「INSTAGRAM」、「MIRAI」、「生活家電」、「調理家電」、「4k対応」、「BIGDATA」、「マイナンバー検定」、「クラウド会計」、「J・POP」、「JUST IN TIME」、「ユルキャラ」、「北陸新幹線」、「遺言信託」、「LINE」、「特許電子図書館」、「省エネ家電」などなど、最近話題となっている単語を中心に、他者の商品に関連しそうな単語がぞくぞくと商標出願されています。ここであげたものは、ごくごくほんの一部にすぎません。

ベストライセンス社が先取りした商標出願を乱発する目的は?

さて、このA氏の目的が何なのか?ということですが、おそらくは、他者の商標を先取りして出願をし、その商標を使用している人に権利を売却して利益を得ることが目的ではないかと思われます。

 

実際に、大手新聞社の報道によると、2016年秋に群馬県太田市が開館する予定の美術館・図書館の複合施設の愛称「おおたBITO」について、このA氏から商標「BITO」の権利を譲りたいとの連絡が来たとのことです。

太田市は、これに応じるつもりはなく、別の愛称を検討しているようです。

 

このように大量の商標出願が乱発されているわけですが、特許庁のホームページでも記載されているように、これらのほとんどの出願について、出願手数料の支払いがないようです。

 

商標出願をする際には、出願手数料を特許庁に支払う必要があります。特許庁では、このような出願については、30日を指定して出願手数料の支払いを求めますが、この期間内に出願手数料の支払いがない場合は、審査を行うこともせずに、出願を却下します。

 

調べてみますと、このA氏とベストライセンス社により出願されたもので商標登録が認められているものは、現在のところ、たった5件しかありません。

これだけ大量の商標出願がされていても、出願手数料の支払いもせずに、ほとんど商標登録されていない、というのが実態です。

もし自社で使用している商標が、ベストライセンス社に先取りして商標出願されていたら?

もし、自社で使用している商標やこれから使用予定の商標が、ベストライセンス社によって先取りして出願されていた場合はどうすればよいかですが、相手方から「権利を譲りたい」という話があっても、その話にはのらないでください。

 

上でも説明しましたように、ベストライセンス社は、商標出願を乱発しているものの、そのほとんどが出願却下されていますので、登録になる可能性は非常に低いです。

ベストライセンス社よりも後の出願となっても良いので、まずは、自社で商標出願をすることです。

 

仮に、ベストライセンス社が出願手数料を支払って、登録を認めるべきかどうかの審査が行われたとしてしても、一企業が、普通に考えられる範囲を超える多数の出願を行っているような場合は、自己の業務に使用する可能性が極めて低いとして、商標登録が認められない可能性もあります(商標法3条柱書で、自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標については、商標登録を受けることができる、と定められています)。

 

このように悪意のある出願は、何らかの理由によって商標登録が認められない可能性が高いですので、最終的には、自社の商標登録が認められることになるかと思います。

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